Oracle Night」を読んでいて、おもしろい一節に出会った。

「The idea is that governments always need enemies, even when they are not at war. If you don't have a real enemy, you make one up and spread the word. It scares the population, and when the people are scared, they tend not to step out of line.」

実に的を射ていると思う。共通の敵ができると、人間は否応なしに結束力を強める。しかし、一歩間違えると、その結束性が敵の存在に過度に依存してしまい、実質を失ってしまう危険を孕んでいるのもまた事実だ。同じことは研究の世界でも言えるような気がする。自分の貢献よりも、敵を作ってそれを攻撃することそのものの方に重点がずれている論文がごくたまにあって、読んでいて暗い気持ちになることがある。
センセーションも必要なのかもしれないけれど、最後の最後に人を納得させるのはそういう中身の乏しいハッタリではないと信じていたい。