GoldbergのConstructions at Workが届いた。新しい物好きなので、他の読みかけを差し置いて読み始めてしまった。馴染みがあるし読みやすいので、一週間はかからないとだろうと勝手な皮算用をする(たいていはその通りにならない)。
Constructionistという言葉が繰り返される。言語の知識体系の実態は、あらゆる抽象度と複雑さを持った膨大な数の「constructions」だと著者は言う。これは、意欲的でありながら非常に誠実な理念だと思う、が、誠実すぎで、前進にはかなりの労力を要するのもまた事実。多少の誠実性を犠牲にしても、とにかく明確な形での前進・発展をとるべきという考え方をする人(おそらく研究者には多数派である)にはなかなか受け入れられにくいだろう。
しかし、95年の時点では誠実でまことらしいスローガンを打ち出すという作業そのものに力点があった感があるGoldbergも、いよいよconstructionismが本格的な「前進・発展」の時代に入ったこともあり、本書ではかなり実践的な形で研究成果を紹介しているようだ。まだ目次を見る限りだが、95年は英語しか対象にしていなかったのに対して今回はcross-linguistic generalization in argument realizationという章がある。類型論志向の僕には大変喜ばしい。