・論文メモ:
急に思い立ってMatt Shibataniの論文(1977, 1985; 共にLanguage掲載)を立て続けたに読んだ。1977年は、表層の格と文法関係は厳密に区別すべきということを、日本語などの言語で、ReflexivizationおよびHonorification(主格ではなく主語に適用される)や数量子遊離(主語ではなく主格に適用される)などのテストを使って証明してゆくもの。鮮やかな議論。(ただ、日本語の判断で「?」というところが少しあり)。1985年は、passiveマーカーは、通言語的に、可能・自発・尊敬・reflexive・reciprocalなどの意味機能に関連付けられる傾向にあることに対し、受動化のもつ機能上のプロトタイプを「動作主の脱焦点化(defocusing of agent)」と規定することで一貫した説明を与えられると主張してゆく。データがものすごい。「自発的に発生する事態を否定すると、可能の読みとの区別が曖昧になる。→passiveの可能読みは、否定文脈で生じやすい。(例:「このロープはなかなか切れない」)」という指摘には、(知っていたけれど改めて)唸らされた。