(微妙にネタバレ入ってます。これから見る予定のある方は、ご注意を!)
トゥルー・コーリング」をとうとう最後まで見てしまった。個人的には好きだったが(だからこそ全部見た)、第二シーズンの途中で打ち切られた理由も分からないでもない。少しテーマが難しくなりすぎたことがその一つに数えられることは確実だろう。最初の方は、トゥルーの行いは正しいものとして話が進んでいたのに、途中でジャックという男が現れてから、突如その価値観が揺らぎ始める。人の命を救うことは間違いなく望ましい行為だ。しかし、一度は死ぬ運命にあった(正確には一度は死んだ)人を救うということ、つまり運命を操作してしまうということは、本当に望ましいことなのかどうか・・・はっきり言って誰にも答えなど分からない。トゥルーのように時間を遡る能力を持った人間はいないからだ。 
 そして少し不思議だったのが、なぜトゥルーはあそこまで死者を救うことに全身全霊を傾けられるのかということ。母親を目の前で殺されたという過去があるのはわかるのだが、その動機が彼女を突き動かしているのだと視聴者を十分に納得させる形で描ききられていたとは思えない。それに、いくらそういう動機があるとはいえ、ジャックによって全く異なる価値観を突きつけられた時、なぜトゥルーは自分の行動を立ち止まって省みてみるということをほとんどしなかったのか。ジャックの考え方を知ったとたん、闇雲に彼を敵視して突っ走っている。一方、ジャックの方は途中で自分の仕事の正しさについて少し迷いを見せたりもしていて、こちらの方が共感できてしまった(少なくとも僕は)。しかし、トゥルーにも同じくらい自省させてしまうと、それこそ重くて重くて仕方のないドラマになってしまい、エンターテイメント性が著しく損なわれてしまう。だからトゥルーの直情径行ぶりは、ある意味仕方がなかったのかもしれない。
まとめると、難点は三つ。
①テーマが重すぎる。
②(①の所為で)善と悪が曖昧になりすぎ。
③主人公以外の登場人物により共感できてしまう。

でも、僕は個人的にはとても気に入りました。(念のため)
(他にも細かい分析は自分なりにあるのですが、そこまで書く意味はあまりないと思うので割愛します)